蓮は泥より出でて泥に染まらず
相国寺境内の放生池では蓮が見ごろとなりました。
池に自生している蓮も、鉢で育てられている蓮もあります。鉢の方は、それぞれに名前が示してあるので、名前を見ながらどんな花が咲くのだろうと想像するのも楽しいものです。
今日花をつけていたのは「金輪蓮」。金の輪のように見えるのかしら?と目を凝らしても輪のようには見えず、行きついたサイトが「京都花蓮研究会」さんのページでした。
爪紅という種類だというのが納得ですね。白い花弁に、すこしお化粧したかのような紅色。同種の蓮に「酔妃蓮」という名前も。ほろ酔いの頬の色をイメージさせるかわいらしい名前です。
お寺と蓮はなじみが深いと感じますが、仏教理念を現した言葉に「泥中の蓮」というものがあるそうです。「維摩経(ゆいまきょう)」にある「身は泥中の蓮華」に由来しています。
意味は、“いくら汚れた環境に身を置いていても、その汚さに染まらず、清く生きること”です。つまり、蓮のように「煩悩の汚れの中でも決して染まらず、清らかで純真な心や姿を保っている人」をたとえる言葉です。
また、言い方を変えれば「潔白な人は悪い環境にいても悪に汚されない」という意味にもなるでしょう。
蓮はドロドロとした泥の中に生息する植物ですが、白やピンク色の美しい花を見事に咲かせます。また、汚い泥の中でも豪華に輝く花としても有名で、そのような凛とした姿を素晴らしいと称えることわざでもあります。
仏教の教えから学ぶことわざは他にも多くありますが、純粋な植物の姿をありのままに表現したものは少ないかもしれません。
梅雨も明けないうちからうだるような暑さが続いて辟易いたしますが、「暑い暑い」と言う代わりに凛とした蓮の姿をイメージして背筋を伸ばしてみようと思います。
2023.07.18
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