浮世絵最強列伝

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やっと。

展示替えを前にして、やっと前期の展示を観に行ってまいりました。「列伝」というタイトル通りに見ごたえのある浮世絵を堪能しました。

展示の仕方がほぼ時系列になっていて、同じ絵師でも制作年によって展示の場所が異なっていたりします。したがって、浮世絵の始まりから発展の様子がよく分かりました。画像1枚目の菱川師宣「衝立のかげ」は墨一色で摺った絵に後から彩色してあります。初期の版画はこういう技法だったのですね。こういう様式の絵が何点か並んでいましたが、予想どおり、塗った人の性格が出るのが見てとれます。版画とて、版木が同一でも摺師さんの腕前によって全くできあがりが異なるのでしょうが、そういう見比べ方をする機会が無いので、こちらの「塗り絵」の作品については面白く見ることができました。

展示室内に、「アダチ版画研究所」さんのご協力で版木や彫るのに使う小刀が展示されており、制作工程がとても分かりやすく解説されていました。会場内では、今回の展示にかかるもの物も含めた復刻版の版画を販売していらっしゃいました。そのご担当の方にいろいろな興味深いお話を教えていただきました。絵の輪郭はもちろん、細かな柄や、筆ですらすらと書いたような文字までが彫り残されていることに驚いたことをお話ししたら、女性の額の髪を彫るのが至難の業だそうです。1mmの間に線を4本残すのだとか!また、浮世絵は版画(つまり大量に摺ることができた)にも関わらず、世界で1枚しか発見されていないものもあるのだそうで、そういった作品も復刻していらっしゃいます。絵具にもこだわって当時の物を使用されているようですし、背景は雲母(きら)が施されていて(=雲母と膠を煮たものを和紙の表面に塗っている)、この復刻版を手に入れて鑑賞するというのもとても楽しいことだと感じます。(購入を真剣に検討中…)図録はどうしても絵の立体感が再現できず(カメラマンさん泣かせ)図録の作品写真と復刻版の現物を見比べると色や質感は全然異なります。

個人的に前期の展示で一番気に入ったのが鳥居清長「三囲の夕立」。急な雨にあわてて屋根まで駆け込む様子が、雨とともに風に舞い上げられる着物の裾などから臨場感たっぷりに描かれています。空の上には風神、雷神さまでしょうか?も描かれていて滑稽な要素も感じます。

前期が本日までで、展示替えをした後8月8日から後期の展示が始まります。

もちろん、北斎も広重も前期後期とも充実しておりますので、ぜひお運びください。

 

 

 

 

2018.08.05