A様邸

  • A様邸 1
  • A様邸 2
  • A様邸 3

A様邸のお茶室をご紹介いたします。

床の間と点前座を仕切る袖壁には下地窓、天井は網代天井と簾天井。大工さんの手仕事が光っています。正面収納の上部にはエアコンが設置されていますが、そちらもうまく目隠しされています。お茶室をお作りになるとお聞きした時は「和室に炉をお切りになるのかなぁ」と早飲み込みをしておりましたが、水屋もしつらえられる本格的なお茶室でした。「すのこ」で隠れていますが、その下には銅板の落としがきっちりはまっております。建築中にお伺いした時にはまだ「すのこ」がありませんでしたので、美しい輝きを放つ銅板にA様のこだわりが見て取れて、感服いたしました。
こちらの扁額には何と書かれているかお分かりになりますか?

「而今軒」です。而今(じこん・にこん)とは禅語で「今、ここ」という意味だそうです。その解釈や解説はたくさんの書籍があるようですからそちらにお譲りするとして、私はA様に教えていただいたこの言葉が大好きになりました。

A様ご夫婦は、陶芸家や書家などお付き合いが広くていらっしゃるので、器も、揮毫もお知り合いの方の手によるものだそうです。
大工さんをはじめ、色々な方の手仕事の詰まったこちらのお茶室からは、「今ここを丁寧に生きる」大切さを穏やかに教えていただいているような印象を受けます。

2018.07.05